カテゴリー: 湘南校

西陣御召 五代目萬次郎展

京都西陣の地で代々御召(おめし)を作り続けていらっしゃる、着物作家の五代目萬次郎さんをお迎えして展示会を開催しました。


<御召(おめし)とは…>

「御召縮緬」の略で、生地にしぼのある先染めの絹織物のことです。徳川十一代将軍家斉が愛用したことから「御召」と呼ばれるようになりました。
御召縮緬と言っても普通の縮緬とは質感が全く違い、少しハリがあってシャリっとした肌触りです。丈夫でシワになりにくいのが特徴です。


<御召ブーム再来!!>
お着物が好きな方の中には、「私は御召はあまり好きではないわ」という人がいるかもしれません。重いとか、質感が好きではなかったとか?
しかし、今再び御召に熱い視線が注がれています。それには訳があるのです!
ちょっと覗いて行ってください。

昭和の頃、丈夫さが好まれ一大御召ブームが起きました。しかし、それに乗ろうとたくさんの後発品が出ました。そうすると品質が悪いものも出回るようになり、ブームは下火になって行ったそうです。

しかし!
本来の御召は

 サラッとして裾捌きが良い
 シワにならない(復元力がある)
 強度がある(三代着られると言われる)
のが良いところ。
さらに近年のこの暑さで、単衣を着る時期が長くなると、、、
シャリ感があるので暑い日にも張り付き感が少ない!
一枚でも丈夫で、膝やお尻部分が伸びない!
透け感があるものやレースの様な模様を作る技術が出来てデザインが豊富になった!
単衣の羽織りなどにも最適!
などの理由で再び注目されて大人気に。

そして
人気になると、また様々なものが作られる様になって来ます。近年では全国各地の織物産地で様々な御召が織られる様になって来ているそうです。


<御召の違い>
 回転数(撚りの強さ)
 ちみつさ(糸の細さ、縦糸の数)
 練りの強さ(繭から取った糸に付いているセリシンというタンパク質を除く工程。半練り〜全練りを使いわける。)
様々な御召がある中で、これらの違いで品質に差が出てくるわけです。

<萬次郎さんの御召>
しっかりと練って、強い撚りをかけて細くても丈夫な糸を作り、緻密に織ることで、昔の御召に比べて軽くても丈夫な生地を作っていらっしゃるそうです。
 
先染めした縦糸をグラデーションになる様に並べて透かしを入れて織ってある着尺。とても深みがありますね。
単衣で仕立てると襦袢の色によって違った雰囲気が出ます。
 
 
 
透け感のある御召と紋紗を交互に織り上げたもの。
7年前くらいから制作できる様になった技術なのだそうです!
 
 
 
五代目は帯もデザインされているそうで、特に粋な猫ちゃんは若い人に大人気なのだそう。
 
 
 
月下美人
かすみ草
ダリア
モチーフが素敵💗
デザインも本当に素敵💗
 
 
 
筆者が感動したのが、男性のお茶人用に作られたという着尺。ハリがあるのにしっとりと滑らかな肌触りです。これぞ良い御召!という感じ。写真では絶対に表現出来ないので、是非来校して正統派西陣の御召に触れてみてください!!
 
 

明星軒展

このたび、当学院では初めて『明星軒』(めいせいけん)さんにお越しいただきました。
 
明星軒さんは、創業130年になる京都の呉服問屋さんです。
問屋さんとはいえ、たくさんの呉服をオリジナルでも作成されているそうです。そのこだわりは強く、それぞれの商品に表れています!
 
<京の古代色五十選>
今回の目玉です。
日本の色に染め上げた、色無地の反物をなんと50色もお持ち下さいました。
展示された様は流石に圧巻!!
もちろんこだわりも詰まっています。
 
*生地のこだわり*
 
日本ニ大白生地産地の一つ、京都府丹後地方で織られた丹後縮緬を使用。しかも先練り後染めなのだそうです。
…はい。お着物勉強中の未熟な筆者は知らない言葉が出てきました。
先練り(さきねり)とは、織物を織る前に精錬する事。
精練とは、絹糸の表面にあるセリシンというタンパク質を洗い落とし、中の繊維を露出させること。
ふむふむ。
先練りをすると、織の工程での扱いが難しくなるが、一般的な後練りのもよりも柔らかく肌触りがよくなるのだそう。
なるほど。
実際とてもとても柔らかくて気持ちがいいです!
 
*地紋柄のこだわり*
 
地紋柄は組紐柄になっています。流れる様な曲線の地紋と光沢感ある生地がスッキリとした着姿を演出する効果があるそう。確かに、この地紋と光沢感の組み合わせは、見る角度によって微妙に色が変化して見えるます。実際の着姿は無地なのに立体感のある、それでいて縦のラインの曲線でスッキリ見えるってことなんですね。

*染のこだわり*
 
13.5mの白生地を手の感覚だけで引き染めされています。ムラの無さは熟練の職人のなせる技に他なりません。

*色へのこだわり*
 
古代色50選。色にこだわりがあるのは言わずもがなですね。日本の色は、原色やただのパステルカラーなどと違い、どれも微妙な中間の色。青磁色、千歳緑、撫子、柘榴、白百合などなど、名前も素敵!無数にあるその日本の古代色の中から厳選された50色は、どれもほんとうに良い色!ひとりひとりの「似合う」を追求されている証拠です。
 
 
<爽〜SOU〜>
こちらは明星軒さんオリジナルブランドの夏着物シリーズ。
涼しげな見た目と軽さが魅力です。
年々長くなっている夏。
豊富なデザインがあるのはありがたいです。
最近では羽織やコートを仕立てるのにもこちらのシリーズが人気なのだそうです。
 
<明星軒オリジナル
他にも、モノトーンシリーズや、スワロフスキーがあしらわれた帯、クールでモダンな絵羽模様など、新しい感性を取り入れたオリジナル作品をたくさんお持ち頂きました。こんなお着物を着ていたら、街中でも、お着物好きさん達の間でも注目されること間違いありませんね。
 

千地展

世界的な着物作家 千地泰弘先生にお越し頂きました。
津波警報がなかなか解除されず電車も運休する中、来校してくれた生徒さん達、本当にありがとうございました!
今回も盛り上がりました!
 
 
日本では絵や紋様に意味を持たせることが多くあります。
これによって、見た目に美しい絵や物に、広い広い背景や奥行きが生まれます。
 
千地先生の作品は本当に美しく、華やかさと品が同居しているものばかりですが、それと同時にモチーフや紋様、素材にまで、仏教的な背景を持つ物が多く使われています。仏教とは人を救いに導く教え。作品からは、着る人を護り導いてくれる様にという先生の優しさを感じずにはいられません。
                                                                                                                                                              
 
こちらはお馴染み、千地先生の八宝紋色無地。
色がどれも絶妙に良くてずっと眺めていられます。
八宝紋の紹介パネルをお持ち頂きましたが、私が無知過ぎてパネルだけでは理解出来ず、wikiりました。。。
一応まとめておきますので必要無い方は読み飛ばしてもらって大丈夫です。
 
蓮華
蓮はその根を泥池の下に這わせているが、その花は汚れなく水面の上に咲く。泥水に浮かぶハスは、欲望の汚濁に浮かぶ、身体・言葉・意思の本質的な純粋さを象徴する。蓮は、清浄と出離(五欲から自由になること)のシンボルとして表している。
 

法螺貝  

右巻きの白い法螺貝は、美、深淵、妙なる調べ、そして一切が溶け合って影響を及ぼし合い(相即相入)充満しているダルマの音(衆生を無知から目覚めさせ、利他を以て自利とすることを促す音)を象徴している。

宝瓶
健康や長寿、富貴、繁栄、智慧、そして宇宙空間を象徴している。宝瓶は、どんなに多くの教えを伝えても、尽きることのない仏法の教えを象徴している。
 
法輪
釈迦と仏法を表すシンボルである。仏の説によれば、法輪と呼ばれる仏を運ぶ車輪は申し分なく滞りなく回転し、止まる事がない様子から長寿、物事が順調に進む様にとのねがいが込められている。
 
 

双魚

仏教において魚は水の中を自在に泳ぐ様子から、幸福、解脱、堅固、活発を象徴する。また、豊穣と豊かさも表している。二匹の魚は本来、インドの2大大河、ガンジス川とヤムナー川を象徴していた。

宝傘

宝傘は儀式において天蓋と似た用いられ方をする道具である。仏教における宝傘は、災難や病気から守るもの、または仏法を守るものを象徴する。空間の広がりや展開、天界の要素を表す。

盤長

吉祥紐またはエンドレス・ノットとも呼ばれる、組紐で愛を象徴的に表現した吉祥紋様である。中国語では万字不断とも記される。これは、万物の究極的なつながりのシンボルである[8]。さらに、このシンボルは智慧と慈悲の相互作用、聖と俗の相互依存、智慧と手段の統合、空と縁起の不可分性などを象徴している。この結び目、網はまた、仏法そのものの比喩でもある。
 
白蓋
 
三千大千世界と呼ばれる、10億個の世界が集まった次元の、広大な世界をおおいつくして護る。

 

 
 
 
紋様にもあった蓮。仏教において重要な意味を持つ蓮の繊維を使って日本の着物や帯にすることは、決して簡単なことではなかったことと思います。元々はミャンマーで仏僧の袈裟に使われる、貴重で手間のかかる蓮の繊維織物。それを日本でどうにか作って使えるまで漕ぎ着け、さらに柔らか過ぎる糸で締めやすい帯を作るために、様々な素材と織り方の組み合わせを試して完成させる。それは並大抵の熱量では成し得ない事です。
この熱さと優しさが、先生が世界的に愛される由縁の一つのように感じました。
 
 
〈千地泰弘〉
教画家を父に持ち、父とともにL.A本願寺の壁画制作の為に3年間渡米。
紅白歌合戦では毎年話題の衣裳を制作。一方海外ではエリザベス・テイラーやグレースケリーのドレス制作を担当し、好評を博し特に1984年よりスペインのアルバ公爵夫人をはじめとする王侯貴族の顧問デザイナーとして活躍。 2003年ヒロ・ヤマガタ氏とのジョイント・キモノを制作
 
 

 

高島織物

暑い!!
梅雨の中休みどころか、梅雨が何処かへ旅行に出かけてしまって夏がお仕事していたかのような一週間でした。
暑い日こそ、夏きもの!
ということで、6月11日から14日まで、初夏展として高島織物さんにお越しいただきました。
織物屋さんならではの夏きものもお持ちくださいました。

高島織物さんは大正4年創業の西陣織の老舗の帯メーカーです。
ローマングラスの美しさを引箔で表現した青銅箔が代名詞の高島織物さんですが、近年では螺鈿箔にも力を入れていらっしゃるとのこと「本物志向」を信条とされる老舗メーカーさんの代表的な作品を間近で見ることが出来ました。

『経錦』(たてにしき)という技法をご存知でしょうか?
奈良時代に衰退して、2000年に北村武資によって復元された織り方で、複数色の経糸を一組みとして緯糸との間に通し、どの色を表に出すかで模様を織り上げていくというとても高度な技法なのだそうです。極細の経糸で表現される綿密な柄、控えめな光沢と落ち着いた配色の、それはそれは素敵な帯の数々。薄く軽いので身に着けていてもとても楽なのです。

 

 

 

 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               こちらは鼻緒が選べる草履                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              

西陣の老舗と言われるメーカーさんであっても、伝統を守りながら新しいことも取り入れ、挑戦していくことは並大抵の努力ではないはずです。その一端を間近で見ることが出来る貴重な経験となりました。                                                                                                                                                                                            

           

 

                                       

                     

                                                                                                                                                                                                                                                                                 

 

 

令和六年一月

新年をむかえ、湘南校の先生方で、近くの平塚八幡宮へ初詣へ。

 

そして、10日からの山田翔也展では、新年ということで訪問着でお出迎え。

  

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     写真:R6年1月1~R61月7

   今年は、 神社へお着物でお参りしてきました

        袖を通していなかったお着物をお正月に初おろししましたとか

        娘と一緒に着物を着ました

        お正月にお勉強中の帯結びに挑戦しましたなど

いろいろなお声を聞くことができました。

     写真:R61月10

 

  本年もどうぞよろしくお願いいたします。

                湘南校スタッフ一同

                           令和六年 一月

トワイライトクルーズ

 

8月6日㈰ 17時に横浜赤レンガ倉庫から出航

サザンオールスターズの歌詞にも登場するマリーンルージュで

フルコースのお料理と横浜・みなとみらいの絶景を洋上から楽しむコースです

     

当日の天気予報は、雨

湘南校の企画は、なぜか雨が多く、今回もとスタッフで心配していましたが、

強力な晴れの運を持っている方がいたようで、雨にあう事無く、甲板からの景色も堪能できました

    

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たなばた & 源一坊 展

7月6、7、8日と湘南校の地元神奈川県平塚市でたなばた祭りが開催されました

 

 

 

 

昨年よりも規模も大きくなり、パレードも復活。

会場が、湘南校のすぐそばなので、お祭りの音と楽しそうな賑やかな声、

そして美味しそうなソースの香りが…

お茶菓子には、ちょっと涼しげなものを選んでみました

 

 

 

 

そして、たなばたと言えば竹。

と言えば「京都西陣の織匠 源一坊」

  竹つながり(?)で今回、たなばた祭りと源一坊展が同じ時に。

 

 

 

天然素材である正絹と日本古来より人々に親しまれてきた竹から作られた糸(バンブー糸)

織られています。

 

 

大人気だったのが、小巾袋帯(あしなが帯)

 

 

 

リバーシブルでもあるので、結び方次第でいろいろな表情がでます。

小巾袋帯(あしなが帯)結び体験もさせていただきました。

 

 

浴衣で展示会にいらして、そのまま、たなばた祭りへ…という生徒さんもいらっしゃいましたよ。

今年の夏のお祭り、浴衣でお出かけしませんか。

 

 

 

きものでお出かけ・・・大磯 旧吉田茂邸

5月中旬 梅雨になる前に…と、お着物でお出かけしてきました。

湘南校のお隣の駅 大磯にある旧吉田茂の邸宅。

 

 

 

 

 

吉田茂が大好きだったというバラも、そろそろ終わりの季節です。

生前、吉田茂はこの家を訪れる人たちが「海も山も眺められて結構な住まいだ」と褒めてくれることと、来訪者が海千山千の人たちばかりであるので、この館を「海千山千荘」と呼んでいたそうです。

 

 

当時のご婦人方もきっと同じように着物姿で、日傘を差しつつお庭を楽しんだことでしょうね。

 

 

以上、湘南校による大人の遠足でした!

京都旅行

 

 

 

113日㈭~5日㈯の3日間

生徒のみなさんとご一緒して紅葉には少し早かったですが、秋の京都へ行ってきました。

           

 

とてもお天気に恵まれ、お着物での京都を満喫。

初日は、ホテルにチェックイン後、お着物に着替えてから、金彩の伝統工芸士の堀先生とのお食事会

   

2日目も朝、各自お着物に着替えて、観光へ

      

 

その後、堀先生の工房へ。

実際に職人の方々が、帯やお着物に金彩を施していく作業を見学させていただきました。

呼吸をするのを忘れてしまうくらいの繊細な細かい作業。

堀先生、そして堀工房のみなさま ありがとうございました。

(見学に夢中になり、写真ととらせていただくのを忘れてしまいました。。。)

3日目は、観光そしてお買い物。

煎茶のお茶会に参加させていただきました。

      

観光客の方々が多い所もありましたが、それぞれのお寺、神社のゆったりとした静けさや空気感を

たくさん感じられた京都旅行でした。

     

夏季休業のお知らせ

 

 

下記の通り、8月11日(木)から8月16日(火)までの間夏季休業期間とさせていただきます。
お問合せフォームからのご連絡への返答は、17日(水)以降となりますのでご了承ください。